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生ごみリサイクルを実践する上で、基本的な考え方についてお知らせするものです.
生ごみをたい肥にするための、ノウハウについても掲載してあります.
たい肥をつくるのは微生物
●微生物とは
生ごみたい肥つくりでは微生物が活躍します。
微生物とは肉眼で見ることができない生き物の総称でおおざっぱにいって10分の1mm以下の生き物を微生物と呼んでいます。土は微生物の宝庫です!
土1グラム、
小さじに軽く一杯の土に数百万から数千万
の微生物がいます。生ごみなどエサになるものが多く分解が活発に進んでいる
たい肥には数億から十数億
の微生物がいます。しかし、栄養物がなくなると数は減ります。
●微生物のたい肥づくりリレー
たい肥は一種類の微生物だけではできません。多くの種類の微生物が次々と遷り変わって有機物をたい肥にします。
最初に活躍するのは
糸状菌
です。糸状菌は分解しやすい
糖類やアミノ酸
を活発に食べ増殖し熱を出します。
糸状菌の出す熱でたい肥原料の温度が上昇すると糸状菌は
死滅あるいは休眠
し、次は
高温に強い放線菌が増殖
し、
繊維組織(セルロース)や繊維結合組織(ヘミセルロース)
などやや硬いものを食べます。この放線菌の活躍する時期が
もっとも高温(60℃〜80℃)となります。放線菌の食べるえさが少なくなり含水率が低くなると微生物の活動は低下し、
放線菌によって分解された
繊維組織を食べるいろいろな細菌(バクテリア)
がふえてきます。色々な役割をもった微生物が
交代し、役割分担してたい肥ができます。家庭で小規模につくる場合、微生物が出す熱は放熱し畜熱できないので高温には
なりませんが死滅せず共存し有益な微生物の宝庫となります。
「ベランダ・庭先でコンパクトたい肥」藤原俊六郎・加藤哲郎著より
●生ごみなど有機物の分解は好気的環境と嫌気的環境で違う
●その生態により微生物は好気性菌と嫌気性菌に大きく分類されます。
微生物にとって
好気的環境とは?
適度な通気性があり、生ごみの水分が50%〜60%のとき
嫌気的環境とは?
生ごみの水分が70%以上で通気性のない状態
生ごみを分解するとき腐敗臭を出すのは嫌気性の微生物
生ごみを通気的な環境で保管すると嫌気性微生物は休眠するので腐敗臭は出ません
生ごみに常在する好気性微生物が活動するよう保管中、常に通気を図りましょう
生ごみたい肥づくりの際も好気性微生物が活動する条件を整えると腐敗臭を低減できます
好気性微生物も嫌気性微生物も気温が高くなると活発に活動します
●酸素濃度と微生物の増殖の関係
酸素濃度が高くなると好気性微生物の活動は活発
となり増殖速度は加速します。
酸素濃度が低くなると嫌気性微生物の増殖速度は
加速します。
●腐敗臭を出すのは嫌気性の微生物
生ごみたい肥づくり −基本のキ−
●
たい肥つくりの主役は好気性微生物
好気性菌は生ごみを分解する際、においを出しません。また分解速度は嫌気性菌に比べて格段に
早いのです.
生ごみの平均含水率は70%〜80%
果物類
野菜類
いちご
90.1%
枝豆
69.8%
温州蜜柑
88.7%
さやえんどう
89.8%
桜桃
84.8%
蕪(かぶ)
92.9%
ネーブル
86.8%
かぼちゃ
88.9%
干し柿
23.9%
キャベツ
92.4%
スイカ
91.0%
きゅうり
96.2%
小松菜
91.9%
魚 類
サツマイモ
68.2%
鯵(あじ)
72.8%
里芋
83.0%
アナゴ
71.0%
じゃがいも
79.5%
アンコウ
79.1%
大根
92.4%
鰯(いわし)生
71.9%
たまねぎ
90.4%
鰯 生干し
59.5%
なす
94.1%
鰯 丸干し
36.1%
にんじん
90.4%
めざし
54.5%
白菜
95.9%
煮干
16.5%
ほうれんそう
90.4%
水分が多いと通気が悪く生ごみに常在する嫌気性菌が活動をはじめ腐敗臭を出します。
だから、たい肥づくりでは生ごみの水分を取っておくことが大切なのです.
たい肥づくりに特別な微生物資材は要りません
落ち葉や腐葉土、米ぬかや自家製たい肥、生ごみ、土に常在する好気性微生物が活動するよう、
適度に通気を図り、あたたかくして活動させましょう.
適度な湿り気と空気があると元気!
たい肥化で活躍する主な微生物達は、私達と同じように酸素がなくては活動ができない好気性の
微生物です.
通気をはかり、空気をたっぷり与えましょう.
また、適度な湿り気(含水率45%〜60%程度)があるとき、もっとも活性します.
生ごみはその80%以上が水分です.水分が多いと空気が通りにくいため、酸素が嫌いな微生物
たち(嫌気性微生物)が生ごみを分解し始め悪臭を出します.
乾燥気味になると微生物の活動は鈍くなり、水気のない所では休眠します.
含水率60%とは、手でギュッとしぼり、水気を感じる程度です.
暖かいところが好き
生ごみを分解する微生物達は暖かいところが大好き.温度が低いと活動は鈍くなり、0℃以下では
休眠してしまうようです.一般的には、高温(40℃〜60℃)でもっとも活性し自己増殖するため分解
速度は猛烈に早くなります.
微生物のエサは小さくて新鮮な方が良い
微生物は目で見ることができない小さな生き物です(小さじ一杯の土に1千〜1億くらい棲んで
います).
生ごみを細かく刻んでおくと表面積が大きくなり空気に触れやすくなり、分解速度は速くなります.
実践についてより詳しく生ごみリサイクルについて知りたい方は
●
「家庭でできる生ごみリサイクル」
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生ごみリサイクル全国ネットワーク事務局長 福渡 和子著 A5版 157頁 定価1200円(税込)
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「家庭でできる生ごみリサイクル」
概要
●生ごみたい肥をつくってみよう
たい肥をつくるのは微生物/生ごみたい肥づくり-基本のキ
生ごみの分解は好気的環境と嫌気的環境で違う/生ごみ(厨芥)の水分
●生ごみたい肥のつくり方
米ぬかの栄養成分と活用法/生ごみ処理容器(コンポスト容器)の使い方
電動式生ごみ処理機は賢く使おう
●良いたい肥をつくるために
炭素と窒素/流し台で分別の徹底を/微生物のたい肥づくりリレー
生ごみたい肥の品質
●たい肥の使い方
たい肥は微生物のえさと住まい/健全な土壌-団粒土壌は微生物がつくる
生ごみリサイクルはミネラルの循環
●生ごみリサイクル運動と運動がめざすもの
●
「ふしぎ!生ごみリサイクル」
文:NPO法人 生ごみリサイクル全国ネットワーク事務局長・福渡 和子
絵:赤星 たみこ
A4版 60頁 定価
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